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最後の演奏   

天気予報では今日は雨。起きて空を見ると、一面灰色の雲に覆われている。本降りにならないうちにと、出かける準備を早く済ませた。
私が洗面所から出たら、もう長女が起きてきた。「おはよう・・」「うん・・」。今日は、中学校の学習発表会で吹奏楽部の演奏があるため、「朝練」で7時には家を出るためだった。
余裕を持って駅に着くと、いつも早い時間に出かける高校生がコンビニに立ち寄る姿が見えた。それにしても早いお子さんだ。
スタンバイをして今日は、後期高齢者医療のことで、先日、厚労省交渉をしたときのチラシを配り始めた。宣伝の話の内容も、その問題を中心にして、財界中心の政治からの転換を思いっきり訴えた。
早い時間に行ったにもかかわらず、今日は、6時半のおじさん、トコトコちゃん達の姿を見ることはなかった。風邪でも引いたのではないだろうか?と考えたりした。さらに、両国勤務のお嬢さん、ヒゲのお兄さん、サングラスのお兄さんも、どうしたわけだか来なかった。
その代わり、いつも「おはようございます」という挨拶だけで通る方たちの中から、いろんな言葉をかけていただいた。
小柄な奥さんは、「あら、久しぶりですねぇ」と。
年配のおじさんは、「今日は、早いなぁ!」と。
そして、A病院に透析治療に通っているおばあさんは、「元気になった?」と私の体のことを心配してくれた。私は、「あ、ありがとうございます」と、すぐにお礼をしたが、考えてみたら、おばあさんの方が体がきついはずだった。
浅草の甘味屋さんの職人をしているお兄さんが、いつもよりずいぶん遅い時間にやってきた。「今日はゆっくりですね?」「仕事場がデパートのほうに変わったので、10時までに行けばいいんだ」と。そして、「浅草にまた食べに来てください」「ぜひ今度・・」と。
・・・と、そこへ、パキスタン人のAさんがやってきた。「あっ、久しぶりですねぇ」「おはようございます」。私は、右手を差し出し握手をした。が、どこかぎこちない。変だな?と思ったら、Aさん、仕事で小指の先を怪我をしてしまったらしく、包帯を巻いていたのだ。「大変でしたね。お大事に・・」と手を振った。
新橋勤務のお嬢さんは、今日も明るい笑顔で「おはようございます」といいながら、出かけていった。
さて、そんなわけで、午前中、わが家の子どもたちが通う中学校の学習発表会があるというので、妻と一緒に見学に出かけた。空き教室などを利用して、いろんな作品や取り組んだ成果の展示がしてあった。美術の授業で作った作品、修学旅行新聞、職場体験記、移動教室新聞などなど、生徒たちの努力の結晶の数々を見ることができた。
私は、その後、仕事が入っていたので、舞台発表の方は見ることができなかった。実は、わが家の2人も登場したのだった。2年生の長男は、剣道の型の披露を。3年生の長女は、吹奏楽部の演奏で、今日が最後の演奏だったようだ。
とくに、長女にとっては、思い出深い演奏になったと思う。
「聞いてあげることができなくてゴメン・・」。体育館でスタンバイしているはずの長女に向かって、心の中で話した。
中学校の校庭に出ると、朝ほどの横殴りの雨はすでに上がっていた。

by ken-tono | 2007-10-26 12:49

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