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“ポスドク”   

いやはや、何とも寒い朝だった。
昨夜は、たまにはと、家族で食事に出かけたが、もうそのときはすでに寒かった。
毛布を一枚多く掛けてちょうどよかった。
スッキリと目が覚めた。
とはいうものの、昨夜のテレビ、「忠臣蔵・音無の剣」で名演技をした田村正和さんの残像がまだ残っていた。昨日は、わが家の全員が、この「スペシャルドラマ」に釘付け状態だったが、残念なことに、私だけ、「討ち入り」の前に寝てしまった。
とにかく、今朝の天気は雲一つない晴天。
駐車場に行って驚いた。窓ガラスが全面バリバリに凍っていたのだ。
しばらくは車を暖め、ラジオを聞きながら時を待った。
視界が開けてきたので出発。途中、缶コーヒーで体を温めているうちに駅に着いた。
入り口周辺を掃除した後、ご挨拶を始めた。
手がビリビリでつい握りしめてしまう。
渋谷の寿司や職人のお兄さんが仕事を終えて帰ってきた。「おっす・・・」「おはようございます。お疲れさまでした」。左手にはスポーツ新聞が。2日前、フィギアスケート・グランプリファイナルで見事に優勝した浅田真央ちゃんの写真と見出しがボーンと見えた。
「ん~ん、真央ちゃん良かったよなぁ」と思いながら。
ポニテールのご主人とT高校生くんのお兄さんは、2人とも同じような黒のコートだった。
元柔道部員のお兄さんは、やはり「おっす」と。フード付きのジャンバーだったので、彼も寒かったと思う。
本町田のMさんが元気よく歩いてきた。「いや~っ、本当に寒いね!」「寒いですね。気をつけて・・」。今日も、職場に何かしらお土産?を持って行く様子だった。
いすゞ自動車で機関社員として働く旦那さんは、今日もまた、「2月で契約が切れるけど、自分はどうなるか全く分からない」と言っていた。顔を見て、契約更新にならないのではという不安を抱えているなと思った。
木曽町のFさんの息子さん、バイオリニストの父娘が、次々と、お父さん、奥さんの車から降りてきた。
古橋予定候補と交代しながら話した。
どうしても雇用を守る問題が話の中心になった。
ハンドボール部員の高校生が息をハーハーしながら駆けてきた。遅れてしまい、家から走り続けてきたのかも知れない。私が「おはよう!」と声をかけたら、笑顔に変わった。
最後の最後まで、とにかく寒い朝だった。
さて、昨日は、Oさん宅で珍しい方とお話をした。
“ポスドク”と呼ばれる仕事に就いている40代の女性である。“ポスドク”とは、「ポスト・ドクター=博士研究員」の略称で、大学院を卒業して博士になっても定職に就けず、不安定で劣悪な研究労働条件におかれた人たちのことを言う。
先日ノーベル賞を受賞した先生達と同じように、彼女はれっきとした博士である。しかし、専門分野を生かした仕事はない。
驚いたことに、彼女は派遣会社の社員だったのだ。派遣労働者として、短期間、今月は、この企業に研究室へ、来月は、この大学へと、まるで渡り鳥のように職場を変えなければならない運命にあるということを、話を聞いて初めて知った。
先月、東京大学で、“ポスドク”問題のシンポジュームが開かれ、ノーベル物理学賞者の益川教授からエールが送られた。
科学の進歩が、人類の幸福に役立つためにも、彼女らの基礎科学の研究が必要なことは言うまでもなく、政府が、もっともっと、財政的支援をしなければならないと実感した。
“ポスドク”と言われる人たちが、全国には、16,000人もいるとのこと。
彼女は、今日も、早朝の電車に乗って派遣先の職場に出かけていった。
Oさんから、帰りに、またまた、特製の塩辛をいただいた。
「98円の塩から?」「そうだよ・・・」「イカなんか釣らないよ」「でも、間違えるぐらい旨かったんだよなぁ」。
しばらくは、わが家の食卓の主役である。
ところで、今の国民の窮状を、「音無の剣士」田村正和さんに頼むわけにもいかない。
日本共産党の出番である。

by ken-tono | 2008-12-15 09:59

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