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「かわいそうなぞう」   

憲法記念日の昨日、休暇をとり、家族で何年かぶりで上野動物園に出かけた。私がいつも駅頭でマイクで話をしている頃の電車に乗って、開園前には到着。大人600円、中学生の子供たちは無料だった。開門と同時に動物園に入ったのは初めてだ。5月の若葉の季節ということもあるかもしれないが、空気が妙に澄んでいて気持ちイイナア!というのが実感だった。動物の多くは、夜行性だとおもうが、気のせいか動物たちにとっても朝はひとつの節目の時間のような感じがした。北海道の旭山動物園など、注目され人気の高い動物園の影響か、上野動物園でも新しい取り組みが行われていた。「ツキノワグマ」である。私は、上野動物園で新たに「熊のコーナー」がイメチェンされたことを知っていたので、みんなの手を引っ張って真っ先に「熊のコーナー」へと向かった。あったあった!直前まで準備に当たっていた「熊」担当の職員の方が、心配そうに園舎の上から熊の様子を見ている。確かに。今までだったらたくさん熊がいて全体に目を奪われていたのだが、木の上に青々とした葉っぱの巣を作ってあげたせいか、子熊が2匹その上でジャレながら遊んでいるのだ。実にほほえましかった。冬眠の巣もあって、のぞき窓から寝ている熊が見えた(冬眠の時期は終わっているので、「見たのはぬいぐるみだヨ」と、わが娘)。んん。どっちかナ?隣に、「マレーグマ」が、反対側には「ヒグマ」の小熊が・・。秋田県旧阿仁町、マタギの里出身の私としては、熊は見慣れた存在だが、上野動物園のこの企画、なかなかイインジャナイ!・・・・と、次のコーナーへと坂を上っていると、向こうから肩に鳥を乗せて歩いてくる人影が見えた。乗っかっているのは「フクロウ」だった。「早起きは一文の得」というが、職員の方が、移動中だったのだ。「スミマセ~ン!」とばかりに、私たちはすっかりミーハー気分で写真撮影をお願い。快く応じていただいたのは良かったのだが、180度首が回るフクロウ、私が、家族と一緒の写真を撮ろうとすると、クルリ。また撮ろうとすると、クルリ。職員の方に協力いただいて、めでたくパチリ!フウ~ッ。
さて、動物園の中の小さなモノレールの始発に乗ろうと思ったそのとき、妙な音楽が鳴り響いた。私はてっきり、モノレールに合わせた子供向けの楽しい音楽かと思った。違ったのだ。憲法記念日に合わせてやってきた黒塗りの宣伝カーだった。どおりで警察官や機動隊員が大勢いるなと思っていた。全国に網の目のように広がっている「憲法9条の会」や政党では、日本共産党や社民党が参加する集会や宣伝が、アチコチで行われた。黒塗りの宣伝カーで軍艦マーチを鳴らして、罵声を浴びせる姿は、とりわけ、動物園や美術館で休日を楽しんでいる市民にとっては、異様な姿に移ったに違いない。
今から60数年前、戦時中の上野動物園でゾウが餓死した。戦争で、人間すら食べるものがなくなり、動物にやるエサなどあるはずがないという時代だった。のちに、「かわいそうなぞう」という絵本が出版され、多くの方が一度は読まれたと思う。戦争は、人間も動物も殺す。絶対に戦争を繰り返させてはならない。黒塗りの宣伝カーの音が鳴り響く上野動物園で、私は、時代を逆戻りさせようとする動きに対する強い怒りとともに、「憲法と平和を守ろう!」という決意を新たにした。

by ken-tono | 2006-05-04 23:22

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